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2020.06.30

WING

NAA田村社長、距離確保の感染症対策「あくまで短期的」

需要拡大へ必要なのは施設のフレキシビリティ

 

 成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は6月29日の会見で、航空機や空港内で新型コロナウイルス感染症対策として行っているソーシャル・ディスタンスは「あくまで短期的な対策」であり、今後空港に求められるのは施設自体が状況変化に合わせて進化していくフレキシビリティ、との見解を示した。
 感染症の猛威によって、成田空港では旅客便が大幅に減少し、5月の旅客数が前年比98%減、6月も直近20日まで国際線旅客が98.4%減となった。非常事態宣言解除に加え、6月19日には県をまたぐ自粛も緩和され、国内線では復便も視野に入ってきたものの、一方の国際線は需要回復まで「長期戦を覚悟しなければいけない」見解だ。IATAの見通しでは、国際線が2019年レベルまで回復するには2024年まで待つことになるが、それよりも先の反転攻勢へ移行した際に、現在対応するソーシャル・ディスタンスを維持することが難しくなるという。
 田村社長はポスト・コロナにおける対策を継続していく中で、「空港のキャパシティについては今後、十分精査しなければいけない」と前置きした上で、航空機内でディスタンスを取って乗る対応について「本格的に需要が回復した段階で、本当にサステナブルなのか」と疑問を投げかけた。それこそ、航空会社が大型旅客機の座席を半減させてしまっては、経営として成り立たせることが難しいとした。そのため、航空・空港業界でのソーシャル・ディスタンスは、あくまで短期的な対策になるとの考えだ。

 

この1年は「ジェットコースターのよう」
感染症対策は成田の宿題に重なる
6月直近の国際線出国98.4%減、いぜん厳しく
5月旅客は2ヵ月連続最低、貨物便は最高の発着数

 

※写真=質問に応えるNAAの田村社長