記事検索はこちらで→
2018.06.21

ウイングトラベル

災害時の外国人旅行者への情報発信「検証と改善を」

観光庁田村長官、大阪北部地震での状況受け

 観光庁の田村明比古長官は6月20日に行った業界紙向け会見で、18日に大阪府北部で発生した地震に対する外国人旅行者向けの対応について「公共交通機関の運行情報の提供などで対応の仕方にバラツキが見られた。今後の情報発信のあり方については検証する必要があると考えている」と述べ、自然災害関連の情報発信の手法についてさらなる改善が必要であるという考えを示した。
 また、6月15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)についても触れ「施行日を過ぎても民泊の問い合わせや届出の申請は相当数ある。今後は健全な民泊普及に向けて、関係省庁と連携して円滑な運用を進めていきたい」と強調した。
 18日に地震が発生した後の外国人旅行者向けの対応については、観光庁としてはJNTO(日本政府観光局)を通じて、公共交通機関の運行状況に対する情報発信を行ったほか、英語や中国語など多言語に対応したコールセンターを開設して、旅行者からの問い合わせにも対応した。これ以外にも鉄道会社や空港会社、大阪府を始めとした地元自治体が個別で外国人旅行者に対する情報発信を行ってきた。
 しかし「鉄道運行情報の発信など、多言語で対応できていたものもあれば、そうでなかったものもあるなど対応に開きがあった」と田村長官は指摘した。
 訪日外国人旅行者は今年1〜5月の累計が1319万4000人となり、5カ月間で2014年に相当する旅行者数が訪問している。さらに、今回地震が発生した関西エリアは、訪日外国人旅行者の人気観光スポットが多く、旅行者数が右肩上がりとなっている。そうしたエリアであるにも関わらず、今回の地震では外国人旅行者への情報発信内容に開きがあった点が表面化した形だ。
 この状況を踏まえて田村長官も「(今回の地震への対応について)検証していき、改善していきたい」と述べた。

 

 民泊新法スタート、民泊事業者届出3728件に
 「優良サービス事例を増やし、環境醸成を」

 6月の観光業界を取り巻く大きなトピックスの1つとなったのが、15日にいよいよ施行された住宅宿泊事業法だ。観光庁は新法がスタートした6月15日時点での民泊関連の届出と登録申請状況を発表した。
 それによると住宅宿泊事業者の届出件数は3728件。このうち受理件数は2210件となった。また、住宅宿泊管理者は申請件数が871件でこのうち登録件数は673件となった。住宅宿泊仲介業者については申請件数が46件、このうち登録件数は23件となった。
 田村長官は「住宅宿泊事業者の届出件数は、この1週間で1000件以上の届出が提出された。また、15日以降も観光庁や各自治体には問い合わせや届出が相次いでいると聞いている」と述べた。
 民泊物件の申請スピードが加速する一方で、営業日数の制限がない簡易宿所や特区民泊に関する申請件数が増加してきているという。
 田村長官によると「京都市の簡易宿所件数は2015年度末で696件だったものが、18年4月時点で2366件と3倍以上に増加している。このほか、大阪や沖縄でも簡易宿所が増加している」と指摘する。

 

※写真=会見に応じる観光庁の田村明比古長官