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2020.03.27

WING

NAA田村社長、航空・テナントへ100億円規模支援

施設使用料20%減免、着陸料など支払期間猶予

 成田国際空港会社(NAA)の田村明比古社長は3月26日の定例会見で、新型コロナウイルス拡大により苦境に立たされる航空会社や入居テナント会社に対して、施設利用料の減免など緊急支援措置を行うと発表した。3月から3ヵ月間、施設使用料の20%相当を減免する。着陸料・停留料については支払い猶予を設けて、航空会社のキャッシュ・フロー支援を行う。この緊急支援では、減免措置で約20億円、支払い猶予で約80億円と、合わせて100億円規模の支援措置になるという。
 支援の具体的な内容としては、構内営業承認を受けている事業者、航空会社やテナント事業者などを対象に、事務室、チェックインカウンター、旅客手荷物取扱施設(BHS)、搭乗橋(PBB)の使用料を減免。リテール構内営業料についても減免する。それらの減免額は、料金の20%相当を3ヵ月分とする。着陸料・停留料については「安全な空港運営のために必要であるため、減免は難しい」としながら、3月から3ヵ月間、毎月末の支払いに猶予を設ける。
 この支援措置は去る23日、国の新型コロナウイルス対策支援本部が関係業界から行ったヒアリングのなかで、要望が挙がったもの。定期航空協会から、空港の処料金について減免や支払い猶予の要望が示された。
 NAAはかつて、東日本大震災やSARS流行など国際的な航空危機に瀕した際に、就航する航空会社などに対して支援策を打ち出してきた。ただ今回打ち出した支援措置について田村社長は、「これまで行ってきた支援とは一桁異なる過去最大の支援」を行うことになるという。
 しかし成田空港自体、新型コロナウイルスの影響で旅客減少や減便影響で厳しい環境下に晒されている。厳しい状況ながら支援策を行う理由について、現況では「航空業界、旅行業界は存亡の危機」なのだと危機感を募らせる。環境が回復した時に就航する航空会社がなくなってしまうと、空港も苦しい状況となる。そのため支援措置によって、就航航空会社やテナント会社の一刻も早い経営環境正常化を図る。
 NAAは航空会社などへ支援を行うものの、旅客や航空機発着の減少によって、同じように厳しい環境に直面している。そこで、国内の空港を運営している民間会社で組織する国際空港会社協議会(関西エアポート、仙台国際空港会社、高松空港会社、中部国際空港会社、福岡国際空港会社、NAA)として、このほど国土交通省航空局に対して空港への支援を要請したという。支援については、空港ごとに環境が異なるため、それぞれの空港に応じた支援を行うよう求めたとのこと。成田空港としては今後具体的に必要な支援を示すとして、国側と連携しながら支援を求める考えだ。

 新型コロナ影響で3月、旅客・便とも大幅減
 中国線9割迫る旅客減、国内便数は前年比増
 国内線2月最高の発着・旅客に
 中国−欧米直行貨物運休で成田経由

※写真=記者会見に臨むNAAの田村明比古社長。航空会社やテナントに100億円規模の支援策。一方で2月から3月に向けて空港実績はより厳しい数字に