2018.06.13

WING

NEDO、ドローン目視外・第三者上空飛行で安全評価基準開発へ

荷物配送などドローン使った物流革命に向け前進

 

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、目視外および第三者上空におけるドローンの飛行に向け、無人航空機の安全評価基準の研究開発に新たに着手したことが明らかになった。ドローンは現在改正航空法によって、オペレーターや補助者からの目視外飛行や、第三者の上空を飛行することに対して規制を設けられている。そうしたなか、目視外飛行や第三者上空での飛行が可能になれば、ドローン・ビジネスは、とりわけ荷物配送といった物流分野などにおいて、その利用が加速度的に拡大することが期待できそうだ。なお、この研究では産業技術総合研究所、東京大学、労働者健康安全機構、自律制御システム研究所、イームズロボティクス、そしてプロドローンと共同で実施していく。
 NEDOによれば今後、機体の信頼性向上や第三者に対する危害を抑制する方法を検討し、福島ロボットテストフィールドなどでの試験も踏まえた上で、無人航空機の信頼性および安全性を評価する手法を開発していくとのこと。さらに、環境に配慮した無人航空機の騒音対策に関する性能評価基準の開発にも取り組む方針だ。
 国土交通省と経済産業省は昨年9月、「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」を設置し、今年3月には「無人航空機(ドローン)の目視外飛行に関する要件」を取りまとめるなど、国による無人航空機の目視外および第三者上空飛行の実現に向けた検討が進められている。
 そうしたなかNEDOでは、2017年度から「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、物流や災害対応などの分野での活躍が期待される無人航空機の目視外飛行の本格化を目指した研究開発を実施している。
 具体的には、同一空域内における複数の有人航空機や無人航空機の同時運航を可能とするために、地図情報や気象情報などを参照し作成される飛行計画について、安全性や省エネルギー効率の観点も考慮した無人航空機の運航を管理する運航管理システムに関する研究開発と、無人航空機が地形や建造物、空中を飛行する他航空機などを検知し、衝突を回避する技術に関する研究開発を実施している。
 NEDOはこのプロジェクトにおいて、目視外および第三者上空での飛行に向けたドローンなどの無人航空機の安全評価基準の研究開発に新たに着手し、信頼性および安全性、危害抑制、騒音対策などの機体技術基準や、危害抑制機能の自動作動などといった制御技術基準などを開発し、これらの基準に基づき、福島ロボットテストフィールドや福島浜通りロボット実証区域において、複数事業者の機体を活用した飛行試験を実施する方針だ。
 加えて、複数の無人航空機から同時に発生する総音圧レベルや異常発生時を想定した際の落下時などの衝撃量の定量化、データ取得を実施することで、騒音などの環境への配慮に関する研究開発も進めていくことにしている。

 

インフラ点検や災害対応ロボなど安全評価手順書策定
日本初の性能評価手法開発に成功

 

 ドローンの目視外・第三者上空飛行に向けた安全評価基準書の研究開発をスタートしたNEDOだが、一方で一足先にインフラ点検や災害対応に活用する、ドローンなどのロボットの安全評価基準書を策定した。橋梁点検に投入するドローンのほか、ダム・河川点検に用いる水中点検ロボット、そしてトンネル災害・プラント災害に活用する陸上移動ロボットが対象。このうち例えば、橋梁点検のためのドローン性能評価書は計73ページに亘り、橋梁のひび割れなどのデータ取得箇所に接近する際の構造物周辺における無人航空機の姿勢の安定性などに関する「運動性能」と、無人航空機に搭載されたカメラや打音器などのセンサーを用いて橋梁点検に必要な近接画像、打音データなどを取得するプロセス全体を評価する「データ取得性能」に関する性能評価項目、試験方法、試験設備などについて、模擬環境下での検証結果も踏まえて取りまとめている。
 現在、橋梁やダムなどの社会インフラの老朽化が急速に進むことが懸念され、これらを維持管理する費用は年々増加傾向にあり、少子高齢化による人材不足も年々深刻化している。また、大規模災害や産業施設などの事故が世界各地で発生しており、災害・事故時の活用に加えて、平時でも使用可能で、迅速な事態収拾を可能とする特殊環境用ロボット(防災・減災、災害対応、インフラメンテナンスロボットなど)の配備が急務となっている。
 その一方、これらの課題解決に向けたロボットの技術開発が国内でも活発に実施されているものの、インフラ点検や災害対応用のロボットの性能を測る共通のモノサシが明らかになっていなかった。そこで、各種ロボットの性能を測るモノサシを規定し、性能を測る試験方法を含めた性能評価基準などの策定が喫緊の課題となっていた。
 そうしたなかNEDOでは、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、物流やインフラ点検および災害対応分野などでの活用が期待される各種ロボット(橋梁点検用の無人航空機、ダム・河川点検用の水中点検ロボット、トンネル災害・プラント災害対応用の陸上移動ロボット)の性能を実現場に導入する前に評価するための、性能項目や性能評価のための試験方法、および試験に使用する計測システムなどをまとめた日本初の性能評価手法の開発に取り組んできた。
 NEDOが進めてきた研究開発では、模擬環境下で各種ロボットを飛行または航行させ、再現した業務プロセスに沿った各種ロボットの性能評価の試験方法と各種ロボット固有の性能を評価するための試験方法、性能評価試験に必要となる計測機器、および環境設備やテストピースなどの仕様や配置方法などの試験環境の妥当性を検証するための試験を実施し、インフラ点検業務、災害対応業務とロボット技術に関する有識者の意見も踏まえて、各種ロボットの性能を実現場への導入前に把握するための性能評価手法の原案を取りまとめた。その成果をもとに、NEDOと経済産業省が「ロボット性能評価手順書」として策定・公表したという。
 なおNEDOは今後、経済産業省とともに手順書の普及を進めていく方針で、インフラ点検や災害対応でのロボット活用の加速に貢献するとともに、2030年に7000億円規模と期待されている社会インフラの維持管理・更新のためのロボット関連市場の創出にも寄与していきたいとしている。また、昨年11月22日にNEDOと福島県が締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」の取り組みの一環として、手順書に基づく試験が「福島ロボットテストフィールド」で実施できるように、研究開発で獲得した知見を福島県へ提供しており、福島ロボットテストフィールドの設計に一部反映される予定にあることを明かした。

 

※写真=ドローンが荷物配送などで目視外・第三者上空を飛び回る日も近い。国がルール作りを進めているほか、NEDOも安全評価書の研究開発に乗り出した。写真は楽天ドローンを使った千葉市におけるLTE回線を使用した遠隔制御及び配送実験(提供:楽天ドローン)

 

※Youtube動画(※音声に注意)=昨年10月末から南相馬市でスタートした配送サービスの模様