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2020.02.17

WING

ATRボルテリCEO、「-600には更なる可能性あり」

運航コストの更なる低減向け機体改良を示唆

 ATRのステファノ・ボルテリ最高経営責任者(CEO)がこのほど本紙の取材に応じて、同社が世界市場に売出し中の「-600」シリーズについて、「この機体はまだ改良の可能性が残されている」として、継続的に更なる改良アップデートを重ねていくことを明らかにした。初号機を2011年に引き渡して以降、数々の改良・アップデートを施してきた-600シリーズだが、ATRは引き続き、同シリーズを進化させていく方針だ。
 「-600シリーズ」の今後の改良方針については「多くはソフトウェアに関するもの」となるであろうことに言及。「さらに、優先事項として考えていることは、メンテナンスコストを下げることなどにより、更にオペレーションコストを低減する施策も考えている」などと話し、運航会社にとって大きなメリットをもたらす改良アップデートに踏み切ることを示唆した。
 ちなみにATRは自社の製品ラインナップを拡充。それまで2種類だった製品群に、あらたに800メートルの滑走路長があれば離着陸することが可能なATR42-600STOL、さらにはATR72-600貨物専用機を加えることで、製品ナインナップを4種類へと拡大した。加えて新設計客室、低視界状態でパイロットの運航を支える「ClearVision」システムの開発など、数々の改良を進めてきた。
 ボルテリCEOは「こうした投資からみても分かるように、我々は常に改良を続けていくという戦略を有している。市場ニーズに基づいて、こうした投資の判断を下している」ことに触れた。

 

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※写真=インタビューに応えるATRのステファノ・ボルテリCEO。-600型機の更なる改良に取り組みつつ市場動向を注視。電動化やハイブリッド化などの研究にも余念がない

※写真=日本市場で存在感増すATR。ボルテリCEOはこの追い風を更に強めていくことを目指す。写真はATR日本代表の好田二朗氏(左)とボルテリCEO

※写真=ATRは短距離離着陸型のATR42-600STOLを日本市場に猛アピール(提供:ATR)

※写真=新コンセプト「into life」。ATRでの飛行体験を象徴する言葉だ(提供:ATR)