★特別号＝日本人出国者数、史上初2000万人達成

2019年は5.9％増の2008万人、12月は5.1％増の伸び

　2019年の日本人出国者数が史上初めて2000万人の大台を達成したことがわかった。1月17日午後の記者会見で、田端浩観光庁長官が発表した。それによると、2019年（1〜12月）の日本人出国者数は、前年比5.9％増の2008万600人に達し、旅行業界にとって長年の悲願だった2000万人の大台を史上初めて達成した。11月が1.9％減とマイナスに転じたことで、年間2000万人に到達するかどうか注目されていたが、12月は前年同月比5.1％増の171万2300人と伸びたことで、2000万人の大台に到達できた。日本人出国者数が1000万人台に達したのは1990年のことであり、それから28年をかけて2000万人の大台に到達したことになる。

　田端長官、一年前倒しで2000万人目標達成を歓迎
　27日に祝賀会、外交関係で重要、訪日拡大にも効果

　1月17日午後の会見で、田端長官は、「2019年の出国日本人数は、5.9％増の2008万人となり、史上初の2000万人を突破するとともに、この2000万人は観光立国推進基本計画に掲げられた2020年の2000万人の政府目標を一年前倒しで達成できた。アウトバウンドは、国際感覚の涵養、相互理解の促進と友好関係を深めるなど、外交関係において非常に重要。インバウンドにとっても意義がある」として、アウトバウンド2000万人達成を喜んだ。「この2000万人目標は、観光関係者の長年の悲願、多大な尽力によるものであり、この大事な目標を1年前倒しでクリアできた。これを祝するために、1月27日に2000万人達成の祝賀会を開催し、これを節目に関係者とより連携を深めてさらなるアウトバウンドの拡大にしっかり取り組みたい」と意気込んだ。
　2019年に2000万人を達成できた要因については、LCCによる直行便増加や就航都市の拡大、ゴールデンウィーク（GW）が初の10連休となったのをはじめ、日並びの良さなどを挙げた。とくに4月は22.8％増の166万6000人と高い伸びを示したほか、11月を除く全ての月で伸びたことで、年間を通じて多くの人が海外旅行したと分析した。

　1990年の1000万人到達から28年かけて倍増
　訪日増加で供給座席増もアウトバウンド拡大の追い風に

　日本人出国者数は、1990年に初めて1000万人の大台を突破して以来、28年かけて2000万人に到達した。1997年には1680万人台まで一気に増加したが、1998年には金融危機と大型倒産で減少。その後盛り返し、2000年には約1782万人まで増加したものの、2001年の9.11、2003年のSARS、2008年のリーマンショックなどによって増減を繰り返し、踊り場を抜けられない状況が続いていた。
　2013年以降も為替や国際情勢、さらにはインバウンド急増による海外旅行向けの座席確保がタイトになった時期もあり、様々な局面があったが、近年はインバウンド拡大とLCCを中心に日本各地への直行便が大幅に増加したことで、航空座席数の拡大がアウトバウンドの拡大にも寄与し、インバウンドとアウトバウンドによる相乗効果で双方向交流が拡大していた。
　官民連携による効果も出た。観光庁は、観光立国推進基本法ならびに基本計画で2020年のアウトバウンド2000万人を目標に掲げ、近年はとくに民間外交などの観点からも双方向交流の重要性を広く訴えて取り組みを進めてきた。民間サイドでは日本旅行業協会（JATA）などの関連団体が中心となり、2008年にはビジット・ワールド・キャンペーン（VWC）、2017年からはJATAアウトバウンド促進協議会（JOTC）を立ち上げて、海外旅行に関わる幅広い関係者が協力し、デスティネーションごとに様々な施策を推進してきた。そうした努力の積み重ねの結果、2020年の目標年次を1年前倒しして、2019年の日本人出国者数2000万人の目標達成を実現できた格好となった。

　2000万人達成祝賀会、1月27日に盛大に開催
　官民関係者ら約250名参加、赤羽大臣も参加予定

　日本人海外旅行者数が史上初の2000万人達成したことを記念し、観光庁と日本旅行業協会（JATA）は来る1月27日、国土交通省内で「日本人海外旅行者数2000万人達成祝賀会」を開催する。当日は、赤羽一嘉国土交通大臣が挨拶する予定のほか、観光関連団体、民間企業、各国駐日大使館や政府観光局、観光庁などから約250名の関係者が集まり、官民挙げた取り組みによって観光関係者の悲願だった2000万人目標を1年前倒しで達成できたことを盛大に祝うとともに、さらなる双方向交流の拡大に向けて決意を新たにする。

※写真＝記者会見する田端浩観光庁長官

※グラフ＝日本人出国者数が1000万人から2000万人に倍増するまでの推移