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2019.12.10

WING

ラファエル、ドローン・ドームで空港ドローン対策強化を

頻発するドローン不法侵入、海外はアンチドローン対策進む

 関西空港でドローンの目撃事案が発生して、空港運用に多大な影響を及ぼすケースが発生した。こうした事態を受けて国も本腰を入れて空港のドローン対策に乗り出そうとしており、空港保安管理規程策定基準の一部を改正する。このなかで空港緊急計画に、無人航空機侵入事案の策定を追加するほか、対応計画の策定に必要な事項を定める方針を固めた。そうしたなかイスラエルの大手軍事メーカーであるラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ(ラファエル)が開発したドローン対策ツールである「ドローン・ドーム」が注目を集めている。日本でラファエルの代理店を務めているアスピレイションによれば、「例え2ミリ平方メートルほどのナノドローンであっても3.5キロメートル先から検知することができる」としており、「重量が200グラム程度のマイクロドローンであっても、5キロメートル先から検知することが可能」なレーダーを備えていることを明かした。
 「ドローン・ドーム」は、検知、識別、無力化という3段階で運用する。飛来するドローンを検知、機種を識別して、運航に用いている周波数を特定することで、その操縦をジャミングして無力化することができる。イスラエルの実戦経験から得た知見をふんだんに盛り込んだアンチドローン・システムだ。
 ドローンは空の産業革命ツールとして様々な産業にイノベーションをもたらしつつある一方、テロ攻撃のツールにもなった。今年9月、サウジアラビアの石油関連施設がドローンを使ったテロ攻撃を受けて破壊され、世界に大きな衝撃が走った。インターネットや家電量販店などでも購入することができてしまう安価なドローンによって、世界経済にも影響を及ぼすような大規模テロが発生してしまうようになってきたためだ。
 こうした石油プラントや発電所、水道などの様々な重要な生活インフラのみならず、空港においてもドローン対策は必要だ。英国ガトウィック空港ではかつて、ドローンの侵入によって滑走路が36時間もの長い時間に亘って閉鎖される事態が発生。シンガポールのチャンギ空港でも同様のドローン事案が発生するなど、ほかにも世界各地で空港周辺でドローンが目撃されたことで、滑走路の運用を一時的に中断するケースが頻発している。
 滑走路の運用が中断されれば、飛来する運航便はダイバートしたり、出発便も遅延・運休が生じてしまう。それすなわち、莫大な経済損失が発生することになる。こうした事態を受けてガトウィック空港とチャンギ空港では、ラファエルの「ドローン・ドーム」を導入して、既に不法侵入するドローンへの備えを強化した。

 

実戦経験踏まえて開発したアンチドローンシステム
機種まで特定、ジャミングで操縦不能に