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2019.08.29

WING

ホンダジェット・ジャパン、来年度は4-5機納入を目標に

丸紅エアロ・遠矢社長、追い風吹くもインフラに課題が

 ホンダジェット・ジャパンが始動して一年。ホンダジェットの日本ディーラーとなった丸紅エアロスペースの遠矢源太郎社長(ホンダジェット・ジャパン チーフ・セグゼクティブ)は「7月~8月にかけて、国内の顧客に対して2~4号機を納入する」予定にあることを明かした。初号機はテレビCMをみて発注することを決めた実業家の千葉功太郎氏や堀江貴文氏らのグループに向けた機体で世間の注目を集めたが、その後も着々と国内顧客に向けてデリバリーを行っている様相だ。
 ホンダジェット・ジャパンが始動した初年度は大口顧客効果もあって10機程度の販売を見込んでおり、概ね計画どおりに推移。「来年の頭には10号機を納入することを目指している」ことを明かした。
 その上で、来年の納入機数の予想は4~5機に設定しているとのこと。これまでの日本のプライベート機の市場を考えれば高い目標設定だが、小型プライベート機クラスで二年連続世界最高の引き渡し数を達成するなど、世界中から人気を博するホンダジェットの日本販売だけに、もっと伸びるのではないかとも期待された。そこにはやはり日本特有のビジネスジェット環境事情が絡むようだ。
 浄水器メーカーのタカギがホンダジェットを導入することを決めるなど、これまで”贅沢品”として導入に否定的だった国内の一部企業においても、ビジネスジェットをツールとして活用する事例が出てきた。長きに亘って日本のビジネスジェット市場は、「贅沢品」、「株主説明ができない」といった大きな壁が立ちはだかって、市場成長が停滞していた。
 そうしたなかで一筋の光明となっているのがホンダジェットの日本市場投入だ。米国で生産する米国機であるとはいえ、ベースは日本メーカーである「ホンダ」ブランドが満を持して2018年に日本市場に参入したことは、大きな追い風となった。
 遠矢社長もホンダジェットの日本販売開始によって、「ホンダというネームバリューは大きく、その反響は大きい」と話すなど、国内ビジネスジェット市場に追い風が吹いていることに言及した。ただ一方で、「販売すればするほど、インフラの問題がクローズアップされるようになってきている」ことを明かした。
 遠矢社長が話すインフラ問題とは、購入した機体の駐機場所やパイロットなどのこと。駐機場所としては、やはりニーズの高い首都圏で駐機場所が不足していることが大きな課題。富裕層や企業のVIPの多くが集中する都心に格納庫などの駐機場所が求められているものの、そうしたスペースがないことが現状だ。
 一方、パイロット・リソースについては、ホンダジェット・ジャパンは岡山航空と提携してパイロットの育成を進めているほか、岡山航空にホンダジェットの整備を委託している。岡山航空には2018年にホンダジェット操縦士5名が誕生するなど、その養成を図っているものの、ホンダジェットの国内販売が進めば進むほど、そのパイロット需要も高まる。まさに”鶏か卵か”という問題だが、ホンダジェットの販売をする上で、課題の一つとなっているという。
 「お客様が興味を示されて実際の商談に入った段階で、いざパイロット、駐機場所などの話になると、お客様は逡巡してしまう。駐機場所が地方空港ともなれば、ビジネスジェット利用者の多くの方が住まわれている東京のお客様は、利便性に頭を捻らざるをえなくなる」とのことだ。

 

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※写真=日本市場で販売が進むホンダジェット・エリート(提供:ホンダエアクラフトカンパニー)