記事検索はこちらで→
2019.04.23

ウイングトラベル

外務省、スポット情報で「不要不急の渡航控えて」

スリランカツアーの対応割れる、各社対応苦慮

 外務省は4月22日、スリランカの同時爆発に伴う注意喚起のスポット情報を更新し、「当面の間不要不急の外出を控えるとともに、同国への不要不急の渡航は控えるようにしてください」として、スポット情報ながらも海外安全情報のレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に近い表現で注意を促した。外務省領事局邦人テロ対策室では、スポット情報でこうした強い表現を用いた理由について、「一時的に治安が不安定となっており、レベルの引き上げではなく、不要不急との文言でスポット情報を発出した」と説明、引き続き状況を注視していく考えを示した。
 これを受けて、旅行会社各社の今後のスリランカツアーについては、対応が割れた。不要不急の文言を重く受け止めたJTB、KNT-CTグループ、日本旅行、阪急交通社、エヌオーイー(NOE)は当面のツアー催行中止を決定。一方で、エイチ・アイ・エス(HIS)、旅工房は当面は顧客の解除権を認め、申し出があればキャンセル料なしでの取消に応じるものの、ツアーの催行は継続することを決めた。

 

 JTB、KNT-CT、日旅、阪急、NOEは催行中止
 HIS、旅工房は解除権認めるもツアーは継続

 各社の対応をみると、JTBは6月16日出発分までのツアー催行中止を決定した。6月17日以降の出発分については、ゴールデンウィーク明けに改めて判断する。
 KNT-CTホールディングスグループは、ホリデイ、クラブツーリズムともに、6月5日出発分までのツアー催行中止を決めた。6月6日以降の出発分については、ゴールデンウィーク明けに対応を検討する。
 日本旅行は、6月20日出発分までのツアー催行中止を決定した。6月21日以降の出発分については今後の状況を見て対応を決める。
 阪急交通社は、5月25日出発分までのツアー催行中止を決定した。5月26日以降の出発分については今後対応を検討する。
 NOEは、名古屋と大阪出発でスリランカツアーの設定があり、当面の間ツアーの催行を中止する。再開時期については状況をみて判断する。
 一方、HISは、4月23日〜5月10日出発分までのツアーについて顧客の解除権を認め、申し出があればキャンセル料なしに取消に応じるが、ツアーの催行については継続する。同社では、現地支店があり情報を密に取り合えることなどから、ツアー催行を継続できると判断したとしている。ツアーの内容もシギリヤロックなどの世界遺産観光がメインとして、コロンボ市内観光については今後の行程変更もあり得るとしている。
 旅工房は、4月25日出発分までのツアーについて顧客の解除権を認め、申し出があればキャンセル料なしに取消に応じるが、ツアーの催行は継続する。4月26日以降の出発分については、今後の状況をみて対応を判断する。

 

■外務省、スポット情報更新し「不要不急」追加
 現地の外出禁止令解除も、最新情報収集を

 今回、スリランカで現地時間の4月21日午前9時頃と午後2時頃に計8カ所で発生した同時爆発を受けて、外務省は4月21日に第一報となるスポット情報を発出。この時点では、不測の事態に巻き込まれないよう最新情報の入手に努めるとともに、外出禁止令が解除された後も当面の間、事案発生場所の周辺に近づかないよう注意を呼びかけるに留めていた。
 これを受け、旅行各社はゴールデンウィークが目前に迫っていることもあり、スリランカツアーの対応を検討、当面は顧客の解除権を認めつつも、ツアーの催行は継続する判断を一旦は下した旅行会社が多かった模様だ。
 そこから一転、外務省は翌4月22日に第二報となるスポット情報(更新)を発出。このなかで、コロンボ市を含む数カ所で爆発事案が発生し、スリランカ政府情報によれば、死者数290名、負傷者数約500名に達するとして、「現下の不安定な情勢を踏まえ、事案発生場所の周辺には近づかないことはもちろんのこと、当面の間不要不急の外出を控えてください。また、当面の間同国への不要不急の渡航は控えるようにしてください」として、より強い注意喚起を発出した。これを受け、ツアー催行可否の判断を見直した会社が出た。