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2018.04.20

WING

アリアンスペース、32機目の日本衛星打上げ受注

イズラエルCEO、将来技術投入しアリアン6を継続改良

 アリアンスペースのステファン・イズラエルCEOは4月19日都内で記者会見し、放送衛星システム(B-SAT:NHKと民放各社が出資)のBSAT-4b衛星打上げ(2020年の予定)を衛星メーカーの米SSL社より受注したことを公表した。その上で、日本からの衛星打上げ受注が、日本で営業活動を開始以来32年間で累計32機となったことを明らかにした。また、2020年に初号機を打上げる次期大型ロケットアリアン6について、研究開発中の液化メタン燃料ロケットエンジン「プロメテウス」を2030年頃を目指して採用し、更なるコストダウンを図るなど、新技術を積極的に投入して、改良を続けて行く考えを示した。
 近年、競合打上げロケット会社が出現していることを意識して、イズラエルCEOは確実な打上げに加え、各種のコスト削減、新技術の導入を積極的に進めて行く方針を縷々説明した。

 超小型衛星の大量同時打上げサービスを表明
 アリアン6で搭載衛星部容積が拡大

 また、今後宇宙商業利用のひとつのジャンルとして注目されている超小型衛星打上げ需要に対して、イズラエルCEOは、「2019年に初号機打上げ予定の小型ロケット『ヴェガC』では、超小型衛星打上げ専門のバージョンとして、超小型衛星射出装置を装備すればナノサット72機など最大81機の小型衛星を同時に打上げが可能だ」と述べ、小型衛星打上げ市場にも積極的にサービス対応する考えを示した。更にアリアン6でも主要衛星1機と小型衛星6機、更に超小型衛星多数といった打上げが可能だとした。
 一方、開発中のアリアン6ロケットは、固体ロケットブースター2基を装備し、政府系衛星の打上げに適したアリアン62型と、ブースター4基を装備して商業用静止軌道通信衛星の打上げに適したアリアン64型の2種類のバージョンが設定されている。多数相乗りミッションにはアリアン62を用いるという。
 アリアン6について同席したブルトン営業担当シニアバイスプレジデントは、アリアン5に比べて衛星フェアリングの容積が拡大し、大型衛星2機を上下2段に搭載でき、より打上げ能力が向上すると説明した。ちなみにアリアン5では2段式衛星搭載部の下段はやや小さい衛星しか搭載できない。
 一方、新興ベンチャーの民間ロケットでは、直径の大きな衛星フェアリングが各種提案されている。イズラエルCEOはこのようなフェアリング直径について、アリアン5に続きアリアン6も5メートル直径のフェアリングを継続していると述べ、直径は絶対的な競争力を左右するものではない考えを示した。

 

※写真=アリアン6の模型の前に立つアリアンスペースのイズラエルCEO