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2020.11.09

ツーリズムEXPO沖縄開催の意義

 10月29日から11月1日の4日間、沖縄コンベンションセンターと宜野湾市立多目的運動場で開催された「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典 in 沖縄」は、世界30カ国・地域、285の企業・団体が出展し、会期中に2万4080人が来場して成功裏に終了した。
 JATAの坂巻伸昭会長が開催会見で強調した「旅のチカラで、日本を、世界を元気にし、また、ニューノーマル時代のMICEイベントとして規模は縮小するが、継続して開催するとともに、沖縄の観光復興を後押しする」という目的は達成された。
 これまでの東京、大阪と比べて、経済・人口規模から沖縄の立地上、規模が小さくなることは想定済みだが、やはり新型コロナウイルスの感染拡大が規模縮小に拍車を掛けたことは否めない。それでも、海外30カ国・地域から44ブース・56小間が出展したことは評価できる。また、オンラインのハイブリッド形式としたことで、リアル以外の参加者が増加した。
 国際旅行市場は、特定国との短期滞在のビジネストラック、長期滞在のレジデンストラックの国際往来がようやくスタートした。こうした海外旅行市場の再開見通しが立っていない中で、出展した各国を評価したい。
 コロナ禍の状況の中でのインターナショナルツーリズムフォーラムでは、タイ、エジプト、スペインの大使が自国の観光の状況とコロナ感染対策を説明し、国際観光への復活への兆しが見えると同時に、JTBの山北栄二郎社長がビジネストラックの拡大を受けて、旅行会社が海外へグループ旅行をトライアルすることを提案したことが最も印象に残った。
 山北氏は旅行会社が感染対策に万全を期し、旅行行程の活動計画書などを提出することで、ビジネストラックと同様にレジャートラック実現の可能性に言及した。現在、旅行業界では海外旅行のガイドラインを策定中だが、併行して旅行会社による安心安全な海外グループ旅行のトライアルの実現に期待する。
 ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典 in 沖縄」を見て、ホストである沖縄県のコロナ禍での観光復興、このイベント開催に懸ける強い想いをひしひしと感じた。
 玉城デニー沖縄県知事は、「OKINAWA NIGHT」で、ツーリズムEXPO沖縄が新型コロナウイルス感染症の発生以降、沖縄で初めてのイベント開催であることを強調するとともに、イベントを通じて感染対策を徹底し、ニューノーマル時代の安心安全な沖縄を発信することで、沖縄の観光回復に期待した。
 また、首里城で開催されたナイトレセプションでは、2026年の首里城正殿再建に向けて内外からの支援、JATAの義援金贈呈に感謝を表明するとともに、今回のツーリズムEXPO沖縄を通じて沖縄の歴史、文化、伝統・芸能、食を知り、内外に発信し、「ともに頑張っていこう」と呼び掛けた。
 今回のイベント開催に対する沖縄県の想いはFAMツアーの開催にも現れている。沖縄本島はもとより奄美・徳之島、久米島、宮古島、渡嘉敷島などへのコースなど、参加者に対して18コースのFAMツアーを設定した。玉城知事が語った沖縄の歴史、文化、伝統・芸能、食を堪能するコースがFAMツアーに盛り込まれていた。
 「ツーリズムEXPOジャパン 旅の祭典 in 沖縄」は、ニューノーマル時代のMICEイベントとして、出展者、バイヤー、一般入場者を限定、あらに入場を無料とするなど収支的には厳しいと思われる。そうした中で開催を実現したことは高く評価される。
 しかも、沖縄への国内旅行、訪日旅行の誘致、沖縄から、日本からの海外旅行復活を内外に発信した。それが来年1月7、8日の東京商談会/トラベルフェスタ、11月25〜28日の「ツーリズムEXPOジャパン大阪・関西」につながっていくことを期待したい。(石原)