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2020.08.24

海外旅行再開への道

 世界の新型コロナウイルスの感染推移をみると、未だ予断は許さないが、急激な増加は少し落ち着いてきたようだ。その根拠は感染者が多い米国、ブラジルが段階的に減少傾向にあること、中南米はまだ増加傾向の国はあるもののペルー、メキシコ、チリなどは減速し、アフリカも南アフリカ、エジプトなども漸減してきたことによる。
 気掛かりは、中国と並び人口の多いインドが未だに高止まりにあること、さらに米国では感染が抑えられていた日本人のメジャーデスティネーション先であるハワイ州、グアム準州などに広がってきたこと、さらには経済再開に伴い、欧州、アジア、オセアニアに再び感染が広がりを見せていることなどだ。
 以前、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は記者会見で、感染の拡大予測について、「神様にしか分からない」と答えて驚いたが、感染を抑えて防止策が成功したかに見えた国国々でも、経済社会活動の再開や一人ひとりの気の緩みなどにより、結局は日本を含めて順繰りに増えてきて、諦めの気持ちにもなってくる。
 欧州を例に取るまでもなく、経済社会活動の再開により感染が再び拡大すれば、感染防止対策を強化し、感染が縮小すれば、再び経済社会活動のギアを上げることを世界中で繰り返していくのだろう。
 JATA(日本旅行業協会)が厚生労働省や外務省に要望したRCP検査センターの設置、RCP検査の拡大、出入国規制の緩和などの手段を経て、実際に海外旅行、訪日旅行の再開はいつになるのだろうか。
 世界全体の感染者数は落ち着いてきたような気はするが、諸外国との経済再開では、日本はベトナム、タイのビジネス往来が始まったばかりで、今後ビジネス渡航が緩和されるとしても、日本・アジア・欧米などの再感染が減速しないと、観光の再開はまだまだ先になるようだ。
 JTBはルックJTBなど海外募集型企画旅行を9月30日で催行中止とすることを決定した。航空会社も9月末までの国際線の運休・減便を決めているが、10月以降については今後の感染状況次第になる。航空業界、旅行業界は海外旅行需要が経営環境を左右するため、一日も早い国際線の運航再開、海外旅行、訪日旅行の復活を待ち望んでいる。
 6月時点では、海外旅行は10月再開の声が高かったが、現状を見ると、感染が劇的に収束しない限り10月再開は難しい。年明けという声も聞かれるが、諦めたら終わりなので、旅行業界が生き延びるために10月以降の再開を待ち望みたい。
 JTB総研は、日本の海外旅行の今後を予測する「JTBリポート2020」をまとめた。それによると、「コロナ後の需要回復には観光よりビジネスの方が時間を要する」と予測した。
 リーマンショック後の状況を例に考察したものだが、観光はここ数年、20代女性が海外旅行を牽引しているとして、コロナ後の需要回復は若年層の動向に注目する必要があり、さらに、アジアの旅行者の拡大にも目を向ける。日本を含むアジア全体の旅行往来が、コロナ後の海外旅行の中心になっていくという見立てだ。
 一方で、日本政策投資銀行と公益財団法人日本交通公社が調査したアジア・欧米豪12地域の訪日外国人旅行者意向調査では、コロナ後に行きたい旅行先にアジアでは日本が1位に選ばれた。
 日本、アジア、世界の人々は海外旅行を半年以上も我慢している。旅行は「不要不急」と言われ、東京都内に住む人は国内旅行も我慢している。アジアの中にはロックダウン、緊急事態宣言下で国内旅行に行くことも叶わない国々もある。
 政投銀と交通公社の調査では、「海外旅行再開の時には予算を増加し、滞在日数を長期化するという回答が相対的に多かった」という。
 コロナ後は、安全・安心・衛生面の確保を前提として、若い人を中心に海外旅行、訪日旅行が一挙に動き出すという期待感がある。
 コロナ後がいつになるかが問題だが、日本も感染の再拡大は、7月30日をピークに段階的に減速している。世界の感染動向と同様に予断は許さないが、経済社会活動と感染防止対策を両立して、海外旅行再開への道を粛々と進むことだ。(石原)