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2020.01.06

2020年、海外旅行は第二幕

 新年明けましておめでとうございます。
 本年もウイングトラベルをよろしくお願いいたします。
 海外旅行に2000万人時代が到来し、2020年は第二幕、新たなステージへの幕開けの年になる。赤羽一嘉国土交通大臣、田端浩観光庁長官が進めるバランスの取れた双方交流の拡大に向けて2020年への期待は大きい。
 その前に、昨年から積み残した課題を解決する必要がある。既に年末から動き出した日韓関係改善をさらに進めなくてはらならない。民間同士は日韓交流人口の回復・拡大に努力しているが、日韓首脳も解決に向けて対話を再開、今年は相互信頼に基づく関係改善を期待したい。
 また、香港情勢も難しい問題だが、ぜひとも解決に向かって話し合いを進めてほしい。一時期と比べて落ち着いてはいるが、予断を許さない状況は続いている。香港、その影響を受けているマカオは日本人の重要なデスティネーションであり、地元観光業者のためにも平穏に戻ることを期待する。
 そして、昨年は前年にもまして災害の年だった。台風15号は千葉県、台風19号は東日本14都県の広範囲にわたる災害をもたらし、「ふっこう割」も設定された。今年は前年の被災地域への観光復興も課題となる。
 さて、今年の旅行動向についてJTBは、日本人の海外旅行者数を前年比4.0%増の2080万人、国内旅行人数を0.5%増の2億8632万人、訪日外国人旅行者数を7.9%増の3430万人と予想した。
 海外旅行者数のプラス要因には、3月からの羽田発着枠の増加が挙げられる。米国、中国、欧州・ロシア、トルコ、スカンジナビアへの新たな路線開設、成田からもイスラエルへの新規就航、関西からは欧州路線が再開されるなど、近年にない新規就航、増便が目白押しだ。
 これは、旅行業界にとって大きなビジネスチャンスとなる。旅行業界は日本旅行業協会(JATA)を中心に、航空会社、地元観光局と協力して、新たなデスティネーション開発を進めていかなくてはならない。
 とくに、単なる就航都市へのフリープランではなく、その国・地域をめぐる周遊型の募集型企画旅行の造成を期待する。最近、旅行業界でよく使われる言葉を引用すれば、「旅行会社ならでは」のツアーを各社で競い合うことが理想だ。
 海外旅行者数は2000万人時代を迎えたが、ここ数年の増加した旅行者の多くがOTA(オンライントラベルエージェント)を利用し、旅行会社(リアルエージェント)の取扱シェアは減少している。国際線の路線拡大を迎えて、旅行会社の強みを発揮し、旅行会社の存在価値を再認識させなければならない。
 そして、2020年は「ポスト2000万人」に向けて、新たな目標を設定する年になる。訪日旅行者数は2030年6000万人の目標があるが、それに合わせるのか、それとも5年後の2025年をターゲットにするのかは分からないが、明確な数値目標は必要だ。
 訪日旅行は韓国、香港からの減少がありながら、ラグビーワールドカップの開催で、欧米を中心に多くの旅行者が東京だけでなく、全国の開催都市を中心に来日し、長期滞在した。これは、人数もさることながら、旅行消費額に大きな効果を及ぼしたと予想される。
 この成功体験を今年は東京オリンピック・パラリンピックにつなげなくてはならない。訪日の第一の目的はスポーツ競技の応援・観戦にあるとしても、日本を見る、知ることが次のリピートにつながっていく。
 東京五輪には、欧米豪からの旅行者も来日するだろうが、アジアのオリンピックということで、中国・韓国・香港・台湾の東アジアと東南アジアからの旅行者の増加に期待したい。アジアの成長とスポーツの祭典のマッチングが興味深い。
 今や、日本のプロサッカーリーグでは、タイの選手が第一線で活躍している。今後、ベトナムはじめ多くの選手が来日し、日本と東南アジアのスポーツ交流がさらに拡大する。オリンピック開催経験都市はアジアでは日中韓の3カ国だが、いずれは東南アジアで開催される時が来よう。
 2020年に訪日旅行者数の4000万人、旅行消費額8兆円の到達は難しいとは思うが、世界的な国際交流人口の拡大の中で、双方向交流を促進することで、インバウンドとアウトバウンドがともに伸びていくことを期待する。(石原)