記事検索はこちらで→
2019.12.09

日中に観光新時代来るか

 11月下旬の「韓国の夕べ」に続き、12月に入り、今度は「日中観光交流の夕べ」が開催された。山梨県北杜市の八ヶ岳山麓のホテルで、1泊2日により行われた「日中観光代表者フォーラム」の前夜祭として急遽、中国文化旅游部の主催で開催された。日本の海外旅行市場に対する中国の取組が、これまでと変わってきたという実感があった。
 ここ10年の日中間の政治問題があって、日本から中国への旅行は、ビジネス需要は堅調だったが、観光需要は上向きではあるが、かつてのような勢いはなくなっている。それが、今回の「日中観光交流の夕べ」を見ると、日中間の観光交流は本格的に交流時代に今一度入ったようだ。
 来日した李金早中国文化旅游副部長も指摘したが、この流れは、日中ハイレベル人的・文化交流対話の開催で決まったと見られる。同対話は去る11月25日に開催され、茂木外務大臣、王毅国務委員兼外務部長らが出席。2020年東京五輪、2022年の北京冬季五輪、日中国交正常化50周年を契機としたスポーツ・文化の交流促進、青少年交流や女性、地方同士の交流や観光の促進、映画や舞台公演・アニメ等コンテンツ交流の促進などで合意した。
 これによって、中国側の官民の観光・旅行業界が一斉に動き出し、今回の「日中観光代表者フォーラム」につながった。
 これまでは、中国からの観光プロモーションは、中央よりも各省・自治区・直轄市が独自で展開し、中国文化旅游部はサポート的な立場と見られいた。これが、中ハイレベル人的・文化交流対話の合意を経て、どのように変わるか興味深い。
 李氏は「中国の観光業、中日観光交流は新しい時代を迎えようとしている。日本と協力して両国
の年間相互交流1500万人を目標とする」と明言した。
 2018年の日中交流人口は1107万人で、約400万人上積みすれば1500万人に到達する。1107万人の内訳は、中国からの訪日が838万人、日本からの訪中が269万人で、3対1の割合だ。
 2019年の現状を見ると、中国からの訪日旅行者は10月までで前年同期比13.5%増の813万人。年間で1000万人は難しいが、950万人近くに行きそうだ。一方で、日本からの訪日旅行者はここ数年増えているとはいえ、大きな伸びはなく、270万人台程度が予想される。そうなると、2019年は1200万人台で落ち着きそうだ。
 2020年からの約300万人の上乗せをどうするかだが、中国からの訪日旅行者の拡大に頼ってばかりでは、相互交流のバランスはさらに崩れていく。2020年の中国からの訪日旅行者は1000万人を超え、1050万人から1100万人まで拡大する可能性がある。日本からの訪中旅行者を400万人近くまで伸ばしたいところだ。
 菊間JATA会長は、日中相互交流1500人は「夢のような数字だが、われわれ日本の旅行業界がもっと送客すれば、その数字は達成する」と応じた。
 林自民党幹事長代理・自民党観光立国調査会長は、「二階自民党幹事長と李中国文化旅游局副部長が、今の日中観光の扉を開いた」と語った。門国土交通政務官は「中国に日本人観光客がより多く訪れるようにアウトバウンド政策を強化してきたい」と表明した。
 日中相互交流1500万人を達成するには、中国へのアウトバウンド政策を強化しなくてはならない。2020年度観光庁予算概算要求では、教育旅行を通じた青少年の国際交流の促進に2000万円が新規で計上されている。
 かつてのように、日本から中国への修学旅行を再び拡大することがアウトバウンド強化の重要施策とみられる。「日中観光交流の夕べ」で、「ハタチの一歩」で中国旅行に参加した若者が「20代は中国に恐怖のイメージがある」と語った。この10年間で日本の若者の中国へのイメージは変わった。この負のイメージを変えることが日中観光交流の最大の懸案事項かもしれない。(石原)