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2018.10.07

災害に負けない関西

 台風21号の影響で関西国際空港が運航停止に追いこまれるなど、今年の日本列島は災害の多い年だが、これに追い打ちを掛けるように台風24号の猛威が日本列島を駆け巡った。台風24号が和歌山県に上陸した9月30日の前日まで大阪に滞在していたので、関西への訪日旅行者がどういう状況にあるのか、実際に確かめてみた。
 28日の金曜日は平日ということもあり、観光地も空いていた。観光施設やホテルの関係者に話を聞くと、かなり戻っており、土・日の観光地は賑わっているという。
 29日の土曜日は既に台風24号の影響で雨模様の天気だったが、道頓堀や黒門市場などは訪日旅行者で溢れていた。関西インバウンドの急速な回復は、やはり関西の魅力を訪日旅行者が知っているからだろう。
 観光庁は官民が協力して取り組む「関西インバウンド観光リバイバルプラン」を策定し、9月21日から「ウェルカム・関西・ジャパンキャンペーン」を開始した。関西の復旧状況、関西の回復状況の正確な発信、航空会社、旅行会社などによる割引促進、関西公共交通事業者による利用促進、観光施設などの割引キャンペーンなどを実施する。
 観光庁は団体、事業者とともに、「知ってもらう」「来てもらう」「行ってもらう」「楽しんでもらう」の4本柱でキャンペーンを展開する。
 ところで、「関西」は広域圏の名称のため、訪日旅行者には馴染みが薄い。訪日旅行者への統計でも、大阪、京都、奈良、神戸などの都市名は多くの人が知っていても、「関西」になると認知度はどうしても低くなる。
 これは、「関東」も同様で、東京の知名度が圧倒的になるが、違いは、関東は東京に集約されるが、関西はそれぞれが個性的な都市が多いことが挙げられる。
 とくに、京都、奈良は、かつては日本の都として栄えた歴史、伝統、文化を持つ「千年の都」であり、街自体が世界遺産という大きな存在。また、神戸も日本では横浜と並ぶ中国や西洋文明をいち早く取り入れた都市としての魅力を持つ。
 そうした都市と比べて、関西の中心である大阪の魅力はどこにあるのか。
 関西出身者に大阪で行くべき観光地を尋ねると、大阪城、道頓堀、黒門市場、通天閣、あべのハルカス、USJなどが出てくるが、その後が続かない。適塾、四天王寺などを勧める人もいるが、京都、奈良などと比べると、いわゆる「観光地」が非常に少ないように感じられる。
 しかし、関西で大阪が訪日旅行者のゲートウェイであることが大きいとは言え、訪日旅行者にとっては大阪の魅力は絶大である。大阪の繁華街にある黒門市場は言うに及ばず、駅から離れている大阪市中央卸売市場にも外国人旅行者が訪ねている。
 大阪市には世界遺産がない。大阪府に広げてもも、堺・羽曳野・藤井寺市の百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録をめざしているが、現段階で世界遺産はない。上海にも世界遺産はない。東京には国立西洋美術館本館と小笠原諸島の絶滅危惧種が世界遺産に登録されているが、東京の歴史と伝統・文化が認められた世界遺産はない。
 大阪、上海、東京の魅力は「都市」そのものにある。とくに、大阪のバイタリティ溢れる都市としての魅力は、世界的にも個性的で、それが訪日旅行者を引きつけているのではないか。
 そして、その魅力の中心は「食」にある。今や大阪の食は世界にSNSで拡散されており、道頓堀、新世界は言うに及ばず、市民しか知らないような街の店にも訪日旅行者が訪れている。
 大阪の多くの個性的な「街」が観光地であり、その中心が「食」なのだろう。今後、大阪の街に訪日旅行者がさらに分散化していくことが予想される。
 来年のツーリズムEXPOジャパンは大阪で開催される。大阪、関西、西日本のどこに焦点を当てるのかは極めて難しいが、大阪を核として災害に負けない関西のバイタリティを表現してほしい。(石原)