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2018.04.16

GW旅行動向の変遷

 今年のゴールデンウィーク(GW)11日間の旅行動向が、各社から出てきた。1969年以来、50回目の調査を実施したJTBでは、国内・海外合わせた総旅行人数は過去最高の1%増の2443万人、旅行消費額は2.8%増の1兆174億円と初めて1兆円を超えると予想した。
 そのうち、海外旅行は前年同期比0.7%増の58万5000人の微増で、海外旅行消費額は3.4%増の1544億円。海外旅行平均費用は2.7%増の26万4000円とともに増加している。
 2018年に入って日本人出国者数は1月が9.9%増と3カ月連続で伸びたものの、2月は6.9%減とマイナスに転じた。これについてJTBは、「春節が1月から2月に変わり、中国本土、香港などからの訪日客が大きく伸び、航空座席が取りにくかったことも影響した。原油高による燃油サーチャージの上昇、為替相場の円高でも、旅行意欲を妨げる要因にはなっていない」と分析している。
 「今年のGWは、3連休+4連休で、人気のアジア方面に行きやすい日並び」であることも大きく、海外旅行、国内旅行ともに今年のGWは旅行が活況を呈しそうだ。
 とくに、JTBによると、今年のGWの特徴として、「若い人を中心に収入や休みの状況が良いことから、小さい子供連れの旅行も含め、若年層の旅行が増える」と見ている。いろいろと取り沙汰される10代、20代の若い人が旅行に行くことがもっとも重要であり、GWにどう動くのか注目したい。
 人気の旅行先は、JTBの調査では、ファミリーのハワイ、近・中距離の台湾、シンガポール、香港などのアジア、長距離はイタリア、フランスなどの欧州で、とくに欧州方面は、今年に入って航空会社の旅客輸送実績も前年を超えており、復調傾向が続いているという。
 日本旅行業協会(JATA)が大手ホールセラー7社にアンケートした調査では、台湾、ハワイ、タイ、シンガポール、香港の順で、欧州もイタリアとフランスが10位内に入り、JTBとほぼ同じようなランクとなっている。
 JTBの調査では、韓国、グアム・サイパン、米本土で前年割れを予想している。どちらもマイナス要因として、政治情勢が今も尾を引いているとみられる。
 とくに、グアム・サイパンは政治情勢の影響による供給席数の厳しさが影響している。韓国LCCチャーター便による商品化を行われているが、現状ではまだ戻っていない。
 例えば、グアムを見ると、日本人旅行者は1月に27.7%減、2月に14.3%減で、1-2月累計は21.1%減と2割以上落ち込んでいる。一方で、韓国人旅行者は1月22.0%増、2月18.7%増、1-2月累計20.4%増と対照的に2割の伸びを記録した。
 グアムへの1-2月の旅行者数は日本人が8万8000人に対して、韓国人は12万9000人と既に逆転し、日本は2位のマーケットだが、グアムでは、日本人の減少を韓国人の増加で相殺しているのが現状だ。
 但し、これは旅行者数の上でのことで、グアムにとっては、日本人の滞在消費額の多さが重要で、日本人旅行者の回復が消費額の増加につながり、グアムの観光産業が再び活況を呈することになる。
 JTBのゴールデンウィーク旅行動向調査で、10年毎のグアム・サイパンとハワイの日本人旅行者数を比較してみた。1998年はグアム・サイパン4万2000人、ハワイ6万3000人、2008年はグアム・サイパン3万2000人、ハワイ3万4000人、2018年はグアム・サイパン2万3000人、ハワイ6万2000人。
 10年毎に区切ると、この20年間でハワイはV字回復を果たしたが、グアム・サイパンは10年で1万人減少している。この20年間、減少傾向を続けているサイパン需要の影響が大きいが、それを差し引いてもグアムの需要を回復するには今年を置いてない。
 ゴールデンウィークや夏休みと言えば、ハワイやグアム・サイパンへ行くのが定番だった時代があった。アジアのリゾートが成長し、選択肢は増えることは望ましいが、グアム・サイパンへの旅行者も維持、増加してこその2000万人ではないか。(石原)